人の交流部門 金賞
幕別町立途別小学校(幕別町)
日本を代表する畑作地帯の十勝地方において、幾多の苦難に立ち向かった先人が最初に米づくりを成功したとされる途別地域。しかしながら、米の生産調整が進み、稲作には厳しい気象条件にあるこの地の水田は昭和61年になくなることとなり、米づくりを消したくないという地域の思いは、途別小学校の学校水田0.7aに託された。以来四半世紀、天候による不作などを経験しながらも、学校と地域が協力して、米づくりは今日まで途切れることなく受け継がれている。
代かき、田植え、草取り、稲刈りなど、米づくりのほとんどを全校36名の子供たちが手作業で行い、長寿会、PTAなど地域住民が全面的に指導・協力している。12月には収穫したもち米を使ったもちつき集会が、地域と学校が一体となった行事として120人規模で開催されている。毎年の繰り返しの中で作業を覚え、技術を習得する子供たちの成長を地域全体で暖かく見守り、一方で、長寿会々員は自分たちの役割・存在意義を確認して張り合いを感じ、もちつき集会などの行事を楽しみに待っている。
米以外にも多種類の農作物を学校農園で栽培し、もちつき集会の材料などに活用するとともに、地区内外の修道院や特別養護老人ホームに届け、お返しにクッキーを受け取るなど交流を深めている。
また、春秋の子供たちと長寿会との通学路ごみ拾い、地域一体となった三世代交流の大運動会など、途別小学校を核として様々な取組が行われ、地域の活性化に大きく貢献している。
これら取組により、子供たちは協力して行うことの大切さを身につけるとともに、地域に対する自信と愛着を深め、成長した後、自然と地元に戻ることに繋がっている。
「総合的学習の時間」の削減により、今後の推進に苦労が予想されるが、熱意を持って様々な工夫をこらす教師たちの取組が成果をあげ、子供たちの元気な挨拶、長寿会々員の明るい笑顔が、引き継がれていくものと期待される。
「わが村は美しく―北海道」運動 第5回コンクール表彰審査委員会
|