地域特産物部門 銅賞
とかちサンタランドツリーの会(広尾町)
広尾町は、日本で唯一サンタランドとしてノルウェーのオスロ市から認定を受けていることから、欧米のクリスマスに生木を飾るという習慣を日本でも広めたいと考え、2007年に同会を発足させ生木の全国発送を行ってきている。都会の購入者から「生木は成長するのが魅力だが、植える庭がない」との声があり、昨年より「送り返し」のシステムを導入し、このような送り返しシステムによって、利用者にとって「広尾町」が単なる地図上の一地点から、「自分の木が植わっている地」として特別な地ともなっている。
コミュニティビジネスとしての事業規模としては、小規模であり地域への波及性にも限定的ではあるものの、「広尾町=サンタランド」という1984年から続く地域の取り組みと連動した「物語性」のある仕組みを考案するものとなっている。とくに「生きている木」にふれる機会を全国の家庭に提供するとともに、生木を植えることができない購入者のために「送り返し」システムを導入したことは、結果的に、都会と広尾町をしっかりと結ぶ橋渡しになっており、一過性ではない将来にわたって続いていく「縁」を構築するものとなっている。
また、このように送り返された木は地元の保育園児らによって植樹されているが、この植樹活動は今年度名古屋にて開催された「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」に向け環境省・国土交通省・林野庁が主唱した「グリーンウェイブ2010」に登録参加したものであり、環境問題をより広く認識してもらうための運動となっている。
「とかちサンタランドツリーの会」による以上のような事業活動は、次世代の林業を担う若手らがけん引しているが、地域の主要産業をコミュニティビジネスとしてゆっくりと育てていこうとする、長い目の大きな視点での取り組みとしても感じられ、今後の発展を大いに期待したい。
「わが村は美しく―北海道」運動 第5回コンクール表彰審査委員会
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