選考理由


人の交流部門 特別賞
NPO法人とかち馬文化を支える会(帯広市)

 審査に行くまでは、ばんえい競馬の存続を目的とした活動と感じていました。しかし、実際にお話を聞いてみると、幅広く「馬文化」を伝承していくことが目的であり、さまざまな方々がさまざまな思いを持って活動されていると理解しました。また、馬への深い愛情と敬意が活動の支えになっていると感じました。
 北海道の開拓は馬抜きではなし得ず、生活の中にいつも馬がいたことでしょう。そうした歴史を伝える大切さもありますが、馬という動物は大変魅力的であり、現代社会においてはそのすばらしさを伝える意味合いも大きいと思います。また、十勝と馬とのつながりの深さや、十勝のイメージとしての馬がいる風景など、メッセージは多岐に及ぶと考えます。
 「NPO法人とかち馬文化を支える会」は、多方面からのアプローチで馬の文化や魅力を伝えていることを評価しました。グッズの販売も好評だそうで、NPOとして最も重要な課題である自己資金の獲得にも工夫が感じられました。
ばんえい競馬が唯一ここで残った背景にも、「NPO法人とかち馬文化を支える会」の熱意は大きく関わっていると思います。訪れた競馬場はおしゃれに改装され、市民や観光客がたくさん訪れるスポットになっているのが印象的でした。廃止になっていれば、こうした施設もできなかったことでしょう。
 ばんえい競馬を見て「馬がかわいそう」と思う人もいるでしょう。こうした誤解を解く努力も続けていただきたいと思います。
 審査の過程では、北海道の農業の一つとして「馬の生産」についてもっと中核的に伝える必要があるという意見も審査委員から出ました。メンバーの中には生産に関わる方もいらっしゃるようなので、この点も今後意識して活動に取り組んでいただければと思います。
 活動年数がまだ短く、新しいばんえい競馬もスタートして年数が経っていないので、これからが正念場と思います。ほかの地域振興団体を見ても、続けることは難しく、エネルギーのいること。しかし、「継続は力」です。北海道で馬の文化を伝えられる活動は決して多くなく、「NPO法人とかち馬文化を支える会」の果たす役割は大きいと期待しています。

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「わが村は美しく―北海道」運動 第5回コンクール表彰審査委員会