人の交流部門 銀賞
北海道標茶高等学校(標茶町)
標茶高校は昭和21年に道立の農業高校として創立され、間もなく開校70周年を迎える。平成12年には道内唯一の農業中心の総合学科の高校に移行した。全生徒の85%が農業科目を選択しており、よく整った教育環境のもと酪農や農産物加工を中心とした学習を行うとともに、日本一広いキャンパスを活用して、「食と農と環境」をテーマとした地域との交流・実践活動を積極的に行っている。
第1に特筆されるのは、当校で生産された牛乳を原料にした45種以上の「グラスランド」製品の開発・販売における地域との交流連携である。「うまいもん市」を商工会と共同開催して、その地域ブランド化に成功するとともに、東京八重洲口での「北海道フーディスト」会で販売したり、イトーヨーカ堂と連携して加工品を道内6箇所で「食彩フェア」として販売したり、生徒は、多くの関係者との交流を通じて、生産・加工・販売一貫の地域農業経営センスと積極的なマインドを磨いている。
第2は、地域と連携した環境保全活動である。釧路湿原の総面積の45%を占める標茶町にある高校として、自らの酪農技術の実習過程で家畜屎尿を湿原に流入させる恐れがあることを踏まえ、酪農と環境保全の両立を目指す「釧路湿原再生プロジェクト」を立ち上げ、北大、開発局、地元企業、NPO等と連携しつつ、水浄化システムの開発、生態系調査に基づく小川等ビオトープの保全・造成、そしてこうした情報を地域に発信する活動に力を入れている。
第3は、植樹や花いっぱい運動、小学生対象の自然教育等を通じた地域貢献である。釧路湿原におけるリバーサイド植樹や、校内のビニールハウスで育てた苗を釧路空港前の道路、町内の国道、町道沿いに花を咲かせる運動は、町民との協働の地域活動として定着している。「インタープリターズキャンプ〜自然は僕らの学校」では、生徒が行う環境教育キャンプに小学生を招待し、自らが先生になって地元の小学生に地域の自然を教えている。
町内中学卒業者の当校への進学率の際立った高さ(70%以上)や、普通高校に比べた当校の退学率の低さは、上述した地域との多彩な交流を通じた学習活動が、当校生徒の豊かな成長の基盤となっているとともに、地域の住民、行政、企業等に、標茶高校への厚い信頼と高い評価を醸成していることを物語っている。
今後とも標茶高校が、地域とともに歩む創立以来の伝統を守り、地域を真に担う人材を送り出し続けることを信じてやまない。
「わが村は美しく―北海道」運動 第5回コンクール表彰審査委員会
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