選考理由


地域特産物部門 銀賞
一般社団法人北海道中小企業家同友会苫小牧支部美苫みのり会(苫小牧市)

 平成13年の北海道中小企業家同友会苫小牧支部総会において「地産地消」をテーマにした講演が行われたのを機に、「東胆振地域の農水産物を利用した地場産品を作り地域還元できないか」が真剣に討議され、その結果「地酒造り」が浮上して、具体的に「水」は樽前山伏流水を源泉とする苫小牧市の水道水を、「酒米」についてはJAの協力によって厚真町の「初雫」を選定し作付依頼をしてもらった。さらに醸造許可を新たに取得するのは困難なので、同友会会員である小樽の田中酒造に依頼している。
 平成14年に「美苫」第一号が完成したが、あくまでも「地産地消」による地域活性化をコンセプトに、みのり会が小売店を厳選し地域に来て買ってもらうことを基本とした。10周年を迎えた現在においても地元での販売に限定するこだわりを守っている。売上は当初から好調であったが、その味の良さは知る人ぞ知るという人伝いに広く伝聞され、現在年間1万本以上の売上を誇るまでに至っている。
 「美苫」をとおして同友会とJAとの連携が強まり、地元農産物が学校給食の食材に採用され、市主催の農業フェアーには同友会のPR効果が後押して大盛況が続いていることや、中小企業のネットワークを生かして、異業種も参画した様々な美苫関連商品(各種の創作料理や酒粕・米粉を利用した商品)の開発など、当該団体の活動は各種組織・団体との連携や波及効果が様々な形として具体化されていることが大きな特色となっている。
 また、こうした地域ビジネスの展開に加え、田植え体験や酒造工程見学会など、市民を巻き込んだ取り組みも既に定着してきており、地域ブランド「美苫」をとおして広がった、一般市民の農業や食に対する関心をもたせている効果は大いに評価できる。
 同会は、2006年「わが村は美しく−北海道」運動・地域特産物部門において、既に銅賞を受賞しているが、今回の内容はその活動の波及がより広がってきており、コミュニティビジネスとして地域全体の活性化、経済的発展に確実に資していることを確認できるものといえる。金賞に向けたさらなる展開を大いに期待したい。

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「わが村は美しく―北海道」運動 第5回コンクール表彰審査委員会