エゾシカを駆除するだけでなく、それを資源として町おこしの特産物・ご当地グルメとしての活用を考えた。そのために加工処理施設を民間で立ち上げ、さらに｢なんぷエゾカツカレー推進協議会｣を設立（平成22年７月「南富良野エゾカツカレー推進協議会」に名称変更）し、統一したメニューを町内の飲食店で提供してもらうように企業間の連携を図っている。
　北海道において有害鳥獣のトップに躍り出たエゾシカの駆除とその資源化は、重要な課題となっているが、このテーマと地域固有の食の名物レシピ開発を融合させる取り組みはユニークで独自性をもつものである。また、カレー料理に使う食材としてのエゾシカ肉の特性に配慮して、柔らかさと適度な脂肪を付加するために、薄く叩きのばしてカツに仕立てて使うというアイディアは、よく工夫を凝らしたものとして評価できる。
　カレーに含まれるその他素材も徹底的に地元産にこだわって、南富良野らしさをアピールするものとなっており、また、商工会と飲食店が中心となっているメンバー構成であるが、地域活性化に対する情熱と意気込みも強く感じられ、地域全体の連携・一体感も評価に値するといえる。
　エゾシカ肉の地元処理加工施設の存在が不可欠であるが、志を共有する人材が起業して、エゾシカ肉の供給体制を盤石のものとしている。このようなエゾカツカレー事業はエゾシカ肉の処理加工施設の確保が鍵であり、この点でも地域の一体感を示しているといえる。
　旭川−富良野−十勝を結ぶ｢北海道ガーデン街道｣を回遊する観光客において、｢南富良野エゾカツカレー｣の存在が次第に認められるようになり、地元での飲食店での提供数は順調に伸びており経済効果も上がり、その存在の地歩は固められつつあるといえる。今後はさらに継続的なリピーターを獲得するための対策などが課題となってくると思われるので、さらに独創性のある多様な展開を期待したい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
「わが村は美しく―北海道」運動 第５回コンクール表彰審査委員会