選考理由


地域特産物部門 金賞
夕張メロン組合(夕張市)

 狭隘な農地としては恵まれない山間地域において、「夕張メロン」をブランドとして育て、品質を維持する努力によって夕張市を農業で支えてきて、今年で50年を迎えている。「夕張メロン」が、北海道において農産物の「ブランド」を初めて獲得し、北海道農業における産地形成の先駆的モデルの役割を果たしたことは、関係の方面にあまねく知られているところであり、また実際に、「夕張メロン」の全国レベルでのブランド周知度は他を圧倒している。
 このようなブランドの形成の努力は、「夕張メロン組合」が50年にわたって、固有品種の選択、規格基準の厳密化とその遵守体制の構築、生産方式の改良、品種特性にマッチした販売方法の選択などに持続的に取り組んできたからである。またこの間、「夕張メロン」が炭鉱閉山により疲弊した夕張地域を、一次産業であるメロン農業が支えてきたことは、大きな地域貢献ともいえよう。
 このように「夕張メロン」は、既に、功なり名を遂げたものとしてその貢献度はきわめて大ということは周知のことといえるが、そのような既に達成しているトップブランド産地に安住せず、次のステージを目指すという意図の下、生産者が一体となったチャレンジ精神によって、今回の第5回「わが村は美しく−北海道」運動・地域特産物部門に応募してきたことを高く評価したい。
 次のステージの目標は、さらに出荷時期を他産地より早く、短期間に限定することにより、さらなる差別化、ブランド化を図っていくこと。また、「食べ頃」を意識した製品の搬出に心掛け、新千歳空港へのアクセスの良さを活用して、朝収穫〜昼出荷、夕方には本州へというスケジュールの敢行など、より消費者ニーズに即応していくことにより、売り上げのさらなる向上を図ることである。
 また、生産サイドにおける活動としては、夕張メロンは前年に価格設定しているにもかかわらず、天候によってはハウスの暖房費が大きく変動するなどコストの変動リスクが避けられず、収益率確保にも大きな影響をもたらしている。このような天候不順リスクをいかに克服し、安定的な生産・販売を実現するための組織強化対策として地区別グループを作り、グループ内での土づくり・栽培に係る勉強会・反省会・生育期間中の圃場巡回、収穫前の収穫・選果勉強会、積極的な共撰事業の推進を実践しているところである。
 これまでの「夕張メロン」の「ブランド形成」は、生産者の協同の力で成し遂げてきたものである。50年を機とする次なるステージの目標達成にも、生産者間のさらなる強固な連携が必要とされるが、今後とも北海道農業における産地形成・展開・発展の先導役としての役割を担っていってもらいたい。

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「わが村は美しく―北海道」運動 第5回コンクール表彰審査委員会