選考理由


景観部門 銅賞
七飯町野菜生産出荷組合

 七飯町野菜生産出荷組合関係では、作付面積の増大に伴い、大根・人参などの圃場で線虫の被害が発生した。農産物の安全・安心を求めるイエス・クリーン運動の展開などもあり、農薬を使用せずに生産品質の保持を図るため、対抗植物として線虫防除効果のある「マリーゴールド」を導入することにした。この栽培には多大な労力を要するものであるが、生産物の安全性のため敢えて導入した。その副次効果として、マリーゴールドの開花による農地の景観の新しい展開がみられるようになった。マリーゴールドの緑肥効果も求めるならば、開花前にすき込む方が良いのであるが、景観効果を求めて開花させている。また輪作体系は4年サイクルできているが、3年サイクルが望ましいなどとされつつある。
 先のコンクール(“特別賞”受賞)以来作付面積にして10.5ha(16%)増加している。
 七飯町の農地は山野へと続く緩傾斜地上位部に位置し、山の辺の圃場ともいうべき状況にある。そこからの俯瞰景としては大野平野の水田景が、そして函館湾が広がり、その中に函館山や松前の山々がアイストップになっている。この七飯の農地からの広域景は恰も農地・自然の豊かな広いロビーを舞台の上から見渡しているような安定感がある。そのとき、身辺の舞台をさり気なく、そして確実に飾っているのが農地に市松模様に入る輪作のマリーゴールド圃場である。
 そして、この農村地域の景観の確立をすすめているのは、この地域の農業指導者がわが身にいい聞かせるようにいう、「農業という生産のカタチのしっかりしている地域は、地域のカタチもしっかりしている」という言葉に表されている。生産から派生した景観であるが、今後はこの景観を地域のブランドとして地域・生産に活用展開されることを期待する。

2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会