このハサンベツ地区はこれまで長期間にわたり、いくつもの計画と消滅が繰り返されてきた。しかし、それらは無駄ではなかった。消えたが如くみえたものが、重なって今日の基盤を形成したのであろう。その第一が、この地域の計画を単なる行政・事業計画に委ねることなく、地域のものとし、さらには多くの地域の専門家も擁したことが、活動持続のエネルギーであろう。そこには当然、行政の側面的支援があってのことである。それらの連携が、計画・活動を地域としての等身大のものとし、柔軟性に富んだ長期展望的な計画を可能にし、地域の生活、農業などと十分に合致し新しい環境形成の可能性を示しつつあることを感じさせる。
　国蝶のオオムラサキは文字通り、この地域の象徴的地域資源であり、この保育には万全を期するとのことであるが、それにとどまることなく、ハサンベツの環境・景観を核とした農村として農地・農業・自然環境の調和交響した地域の形成を期待したい。

2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会