選考理由


人の交流部門 金賞
幌加内町そば祭り実行委員会

 北海道の食文化といえばこれまで、ラーメンと寿司であった。近年になってそれにそばが定着しつつある。これは全国的なそばブームもあるが、道内にあってはなんとしても幌加内の功績が大きい。それは全道各地に「幌加内産そば粉使用」という看板が目立つことからも知ることが出来る。
 減反政策を契機に「日本最寒の地」にそばの導入を決定し、「そばをブランド化することによる地域の活性化」「世界のそばのセンターを目標とする」など明確な目的・理念を持って平成6年に第1回そば祭りを開催し、年々内容を充実させて「そばの町幌加内」の一大イベントとして定着している。第10回目の平成15年の「世界そばフェスタin幌加内」の開催は、この種の活動が頂点を極めたことを意味する。永年の関係者の努力にまず敬意を示したい。
 特筆すべきことは、まず、肥料の開発や土地改良事業の実施による暗渠の完備等による生産性の向上、一元集荷、採種の一定基準づくり、より良いものを供給するための研修の実施、そばの旨味の評価を数値化するための調査の実施、自然乾燥による均一安定供給など、生産性・品質向上への弛み無い努力を続けていることである。
 「そば祭り」は、生産者が直接客と接することによって実需者・消費者ニーズを把握しようとする、「そばをブランド化することによる地域の活性化」のための取り組みの一環である。また、手打ちそばの「素人段位認定」という独創的な実践・展開方法もユニークである。認定有段者が道内300人、幌加内町内では100人に達している。町内でそば打ちが可能な人が人口の約1/4の400〜500人に達し、この人たちに支えられて「そば祭り」が開催されている。次代を担う人材の育成のため「そば祭り実行委員会」と「そば打たん会」の協力によって高校の授業に週2回「そば」が必須科目(そば打ち、栄養学)となっている。そして、そば打ちが高校生から小中学生に伝授、自然体で次世代に繋がっているなど、活動が地域にしっかりと根付いている。更に、全国4000名の顧客データベースの作成をするなど祭りの期間にとどまらない客の入り込みに努力し、外部の人たちに積極的に情報発信しているなど、この活動を通じて地域の人々の参加や外部とのつながりによる「人の交流」が活発に行われている。町内外ともに交流の広さ、深さとも充実した活動である。
 本活動の成果の一つの現れとして、以前は町に蕎麦屋が一軒もなかったが、今は町の人が始めた蕎麦屋や、良いそば粉を求めて町外から来て蕎麦屋を開店するなどして、現在は13軒もの蕎麦屋が出来て切磋琢磨していることが上げられる。 また、「そば祭り実行委員会」8名と「そば打たん会」8名計16名が核となり「活性化協議会」(企業・商工会・JA・町・そばっ子クラブ371名。第1回コンクールにて景観部門特別賞受賞)が発足しているほか、女性生産者による「そばっ子クラブ」が、色々なそば料理・そば製品を提案するなど、この活動により新たな地域組織やコミュニティグループが育っており、今後も発展が期待される。

2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会