地域特産物部門 銅賞
オケクラフト20周年記念実行委員会
素朴な木のあたたかさと、白く上品な美しさを合わせ持つオケクラフトは、全国的にも知名度の高い優れた工芸作品です。これは置戸町が20年にわたって展開した林業支援・振興策の成果であり、またそれに応えてきた各クラフトマンの方々、地域の企業や団体の努力のたまものであり、高い評価に値することから、銅賞といたしました。
山と森に囲まれ、長年にわたり林業を基幹産業のひとつとしてきた置戸町ですが、木材の一次加工(製材)だけでは付加価値が低く、さらに輸入外材に押されて産業は衰退傾向にありました。それを脱却するために、地元木材の有効利用の方法として始まったのが、特産のエゾアカマツを用いて食器などを作る工芸、オケクラフトです。それまでは、材の性質から木工に向かないとされてきた針葉樹での工芸品づくりは、全国にも類を見ない試みでした。
町では、町内の製材企業と連携して材料を確保し、同時に町外から積極的に人を呼び込み、優秀な木工技術者集団の育成に力を入れてきました。また、単なる工芸品の製造・販売でなく、「人づくり」、「町づくり」を基本コンセプトに置いた結果、現在は地域内外出身のクラフトマンが22の工房を構え、個性的な活動を続けています。町内では学校給食の食器にオケクラフトが使われるなど、地産地消の動きも進んできました。2003年、2004年の2ヶ年わたって誕生20周年を記念した行事を行なったほか、工房同士の連携を深めるため、定期的なミーティングなどが開催されるようになりました。
町で運営するオケクラフトの拠点「森林工芸館」に多くの観光客などが訪れ、展示作品を通して森林の大切さ、林業や林産業に対する理解を深めることができ、こうした流れは地域にとって大きな財産となっており、すばらしいことだと感じます。
それと同時に、この20年という蓄積をもとに、今後オケクラフトの進むべき方向性−どうやって作品を生産し、販売していくか、発展させていくかという明確な戦略やビジョンを、再検討する時期にきているのではないかと思われます。
2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会
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