選考理由


地域特産物部門 特別賞
産業クラスター研究会東オホーツク オホーツク鱒寿し研究部会

 網走管内の漁業、建設業、食品加工業などにたずさわる人々、大学の研究者、行政職員らが連携し、いままで利用されなかった地域の豊かな水産資源(カラフトマス)から、新たな商品を生み出した熱意と努力に敬意を表するとともに、これから大いに飛躍する可能性が期待されることから、特別賞といたしました。
 北海道でおもにオホーツク海でとれるカラフトマス(別名オホーツクサーモン)は、夏の重要な水産資源のひとつであり、北海道の水揚げ量の半数以上が網走管内産となっています。しかし、その価格は相対的に非常に安く、多くはサケ缶や市販の総菜の原料として加工されるものがほとんどで、地元でもそのまま食べられることはありませんでした。そのため、地元漁業者や水産加工業者にとって、カラフトマスの付加価値化は長年の大きな課題となっていました。
 そのようななか、地元網走管内の異業種の経済人等で構成される「網走産業クラスター研究会東オホーツク」が、東京農大網走生物産業学部の研究者からの助言に基づき、カラフトマスを使ったマスずし開発のプロジェクトチームを結成し、試行錯誤の末、新しい商品を生み出しました。
 こうした活動は、各地にある産業クラスターの動きのなかでも、数少ない成功例のひとつであるといえるでしょう。  商品名はカラフトマスの愛称せっぱり(オスの背中が山のようにせり出すため)から「オホーツク鱒寿し せっぱり」と名づけ、一つずつササの葉で包み、道産リコッタチーズを間にはさむなど、全国的に有名な富山のマスずしとは全く違う個性的なものになっています。主役であるマスも、切り身がとても厚く食べごたえがあり、市場での評判も良いようです。
 販売場所も当初はJR駅などに置いていたものを、大手航空会社関連の企業から声がかかり、女満別空港、新千歳空港で販売することとなり、近年話題の「空弁(そらべん)」として注目を集めています。それに合わせて容器をコンパクトにするなど工夫を行い、柔軟な販売戦略も展開しています。
 開発後の期間がまだ短いので、商品としてどう伸びていくかを含めて、今後ますますの発展を楽しみにしております。

2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会