地域特産物部門 銅賞
おびひろ味銀行
近年、「スローフード運動」や「食育」といった動きが社会的に重要であるといわれていますが、そうした理念と同様の活動を、もう13年前から、しっかりと地域に根ざした形で続けてこられたことは、全国に誇るべきすばらしい活動であると高く評価いたします。こうした活動の効果は、すぐ目に見えるものではありませんが、だからこそ大切にし、今後も末長く継続されることを願ってやみません。
おびひろ味銀行は、平成3年、地元の農畜産物を活用した「おびひろの味」づくりをめざし、生産者と消費者が混在する116名の会員でスタートしました。名前の由来は、お金ではなく、地域の味を蓄えるという発想にあります。おもな活動は、月1回の定例会で4〜5品目の料理づくり、子どもや親子を対象とした料理教室の開催、各種イベントへの参加等のほか、独自の料理書を制作・販売するなど、さまざまな取り組みを行なっています。
料理書の取り組みは特にユニークで、十勝産の長いもが台湾に輸出されたことをきっかけに、中国語、韓国語、日本語と3カ国語で自費出版し、完成度が高く読者にも好評です。現在は完売しています。
また、会員の構成が生産者、消費者の両方であることから、お互いの意見を交換することができる良い交流の場となっています。消費者の立場では、地元の食材について興味や関心が深められ、生産者にとっては消費者の声を聞くことができ、さらに他府県の産直グループとの交流もはじまりました。
今後は、これだけの会員のみなさんのネットワークと、貴重な料理法の蓄積を、料理教室や本で終わらせてはもったいないので、ぜひ行政等のバックアップなども得て、息の長い文化活動としてさらなる発展を期待したいと思います。特に子どもを対象とした食育への取り組みは、全国でも先駆けとなる存在であり、ますますの充実が期待されます。
2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会
|