選考理由


地域特産物部門 金賞
有限会社 もち米の里ふうれん特産館

 夏場は農業、冬場は出稼ぎという従来の生活を変え、家族がいっしょに1年を過ごしたいという思いから、新規事業を立ち上げ、着実に軌道にのせてきた活動はすばらしく、地域特産品部門の金賞といたしました。
 道北に立地する風連町は、気象条件などから米作の北限地帯とされています。この地域で中央のうるち米と対応するのは難しく、地元農家では昭和56年にもち米の生産組合を結成し、特産である「白鳥もち」の生産にはげんできました。しかし、販売の中心となっていた関西の製菓会社などとの取引は、低価格が続き、経営は厳しい状況にありました。
 そんななか、昭和63年に7人の米作農家が集まり、もち製品の加工に挑戦。試行錯誤の末、今では「切りもち」「丸めもち」「ソフト大福」、18種にもわたる「かわり大福」の加工販売のほか、大手外食産業の主力商品(玄米もちお汁粉)の製造も行っています。平成5年には組織を法人化し、工場、店舗、レストランを併設する「特産館」を平成13年3月にオープンしました。
 今回、特に高く評価した点は、風連産もち米の特性であり、もち加工では難点とされていた「固まりにくさ」を逆手にとり、やわらかい独自の大福を完成させたメンバーのみなさんの着想力、それを実現させた行動力です。  製造、加工、販売を完ぺきな地域循環のシステムで行っている点、もちろん商品そのものの魅力、それがロゴやパッケージなどのデザイン的な統一感をもって、消費者にわかりやすい形で届けられている点など、生産者が付加価値化を行うときの諸課題を、見事にクリアしているといえるでしょう。
 また、構成員以外の雇用者(通年のパートタイマー)を30名も雇用するという地域への貢献、特産館の来客による地域の活性化など、周囲への経済効果もたいへん大きく、町全体のイメージアップにもつながっています。
 こうした成功は、リーダーの堀江さんの的確な判断や予見性、人望とともに、メンバーの方々の結束力のたまものであると存じます。今後も特産館が継続して発展するために、いま余裕のあるときに、後継者育成に着手されることが望ましいと思われます。

2004年12月
「わが村は美しく―北海道」運動 第2回コンクール表彰審査委員会